生活者を、置いていかないで

~エッセイ:習慣と文化と、その間 5
(Essay : Living as Muslima in Japan 5)

 
数年前まで、東京の飲食店でも「ハラールですか?」と聞いて、
「はい???」と首を傾げられていたことを思うと、
「ハラール」と言って、そのまま通じる嬉しさを感じています。
 
  
本当にまだまだ、地域性はありますが、
東京都内に限って言えば、飲食店も増えてきました。
ハラール認証の商品も、増えています。
  
   
けれど、ハラールが一過性のブームのようになっているのでは?
と感じることも、しばしばです。
 
キーワードは、インバウンド。
  
   
日本におけるハラールの多くは、ビジネスの視点から語られます。
世界に**億人のこれから期待される市場!など、
あおるような文章を見ることもありますし、
対応すれば、儲かるのですか?などなどの質問があったり、
ですね。
  
   
確かに、利益の見込みがなければ、
興味はあっても、実行・実践が難しい場合のほうが、
多いと思います。
商売ですから。
ボランティアではないですからね。
見込みがないものに、予算も経費もかけられない。
投資だってできません。
 
   
そんな中、時流を読み、決断をされて、対応している飲食店、
サービス業、企業の皆さんは、感謝の気持ちがあります。
対応を切望している当事者ですから、
単純に、増えれば嬉しいです。
どんなに遠くても、わざわざ行っちゃう(笑)
心からうれしい。
助かります。
   
   
けれど、勘違いはしてほしくないなと、思います。
ハラール認証にとらわれすぎて、
ハラールの本質を見失わないでほしいのです。
 
  
いろんなニュースを見かけるにつけて、
当事者が置いていかれているような、
悲しい気持ちになる時があります。
    
  
ハラール認証は、最初のうちは「目玉」になるでしょう。

でもね、結果的にはやっぱり、
商品やサービスの魅力があり、お店の魅力があり、
スタッフの魅力があるお店が強い。

マーケティングも、戦略も、
発信も、集客も、日本人相手の時と変わらずに、必要です。
(ハラールやってても、サービスが…
 スタッフが…だと、やっぱりリピートしないですもん。)
 
  
レストランに行っても、
毎回同じメニューしか食べられないとしたら?
他の人はあれこれ選べるのに、選択肢が、いつも1つだったら?
買い物に行っても、チョコレートしか売ってなかったら?
 
  
そのうち、結局、
ハラール認証がついているもの以外に、
食べられるものを探すようになります。
他の場所に、探しに行くようになります。
 
  
一時的に来日する「観光客」に対しては、
同じメニューでも、それでいいのかもしれません。
けれど、生活者としては、現実問題として、まだまだ選択肢がない。
(今、日本には13万人ほどのムスリムが生活しています。)
 
  
インバウンドだけでなく、
生活者も、たくさんのニーズを抱えています。
課題も、あります。
アレルギー対応で困っていらっしゃる方と同じように。 
  
   
ハラールを一過性のブームと捉えず、
真摯に向き合ってくださる方が増えていくことを、
熱望しています。

そしてそんな方々を、サポートさせていただきたいと
心から、思っています。

 
 
※ 例えば、イオンでハラールのチョコレートや
コーヒーが発売されましたけど、
インバウンドか、多分、アウトバウンドも見越してますよね。

確かに、「お土産」にはなります。

でもね、ハラール認証を得ていなくても、
食べられるチョコレートはいっぱいあるんです。
ハラームじゃなければ、ハラールなの。

チョコレートでは、家族の食卓は変わりません。
コーヒーでは、日々の料理の大変さも、変わりません。
お弁当作りも、献立も、なんにも変わらん…(はぁ)
これから、品数が増えるのかなぁ・・・。